高山寺は国宝鳥獣人物戯画絵巻でとても有名ですが、「茶の発祥の地」としても知られています。明菴栄西禅師(1141~1215)が中国の宋より持ち帰った茶種を明恵上人(1173~1232)が譲り受け、栂尾トガノオの山内で栽培を始めました。この茶が宇治へと伝わり、そして日本各地に広まっていきました。
明恵上人は和歌山出身で、幼少期に父母を亡くし神護寺に稚児僧として入り、1188年に出家して東大寺で具足戒を受けました。その後、主に和歌山で修行と学問に励み、1206年後鳥羽上皇より栂尾の地を下賜されて高山寺を開山いたします。無欲無私清廉の人柄で、その学徳は後鳥羽上皇・北条泰時を初め、多くの公家や武家から尊崇を集めました。
高山寺は京都の中心部から離れた所にあります。現在は山間の道路も整備されていますが、鎌倉時代は険しい道のりだったのでしょう。温暖化した現在よりも雪深かったでしょうし...。学問と修行に励み、華厳密教を打ち立てた明恵上人のお人柄が忍ばれます。
それでは高山寺を参拝しましょう(写真)。表参道は北山杉の間にあります(写真)。まず初めに日本最古の茶園(写真)を見学いたしました。思ったよりもコンパクトです。以前は茶園の北側に杉の大木があって日光がほとんど当たらなかったそうですが、台風で杉が倒されてから日当たりが良くなったそうです。「ゆく川の流れは絶えずして...」ですね。
国宝石水院はSNSの記事通り”内部に入れますが外から全体像が写真に撮れない”仕組になっています。富岡鉄斎「石水院」扁額、西村虚空「善財童子」、後鳥羽上皇宸翰シンカン勅額「日出先照高山之寺」、国宝鳥獣人物戯画絵巻と明恵上人樹上坐禅像のレプリカが陣列されています(写真)。青紅葉、紅葉、雪景色の景観はどれも素敵でしょうね。
国宝明恵上人坐像は開山堂に安置されていますが、公開は1月19日と11月8日の年2回で、残念ですが非公開でした。折角高山寺まで足を伸ばしたのですから、近隣の神護寺も訪れました(写真)。パンフレットには国宝17点、重要文化財2833点を所蔵しているとあります。国宝金堂本尊木造薬師如来などを鑑賞することができました。
どこのお寺も夫々固有の歴史があって、十分学習してから再訪すると見えてくるところも違うのでしょう。どちらのお寺の石段もさほど苦になりませんでしたから、また何時か良い季節に来れることを願って山を後にいたしました。